<Header>
<Author: 綦毋潛>
<Title: 宿龍興寺>
<Format: 格式不明>
<Year: 1964>
<BookName: 唐詩選　上>
<Translator: 斎藤晌>
<style: 現代文無假名>
<style2: 日本現代譯文無假名標注>
<TranslatedTitle: 龍興寺に宿す>
<BookPage: 244>
<UsedPage: 1>
<Feature: 1, 4>
<End Header>
<Poem>
香剎夜忘歸，
松青古殿扉。
燈明方丈室，
珠繫比丘衣。
白日傳心靜，
青蓮喻法微。
天花落不盡，
處處鳥銜飛。
<End Poem>
<Translation>
龍興寺をたずねてきたが、靈地の神々しさに心ひかれて歸ることを忘れ、とうとう夜になってしまい、宿めてもらうことになった。古い殿堂の扉のあたりは、松の枝が清らかにさしかかり、住持の部屋には、燈火が明るく輝いている。いかにも佛法の光のように見える。高徳の僧たちの衣にかけられた珠數を見ても、ありがたいお經に説かれている善根功徳の寶珠が衣服の裏にぬいこまれていたという話も、そぞろに思い出される。
しばしのまどろみがさめて、夜が明けわたると、白日が静かに照りわたり、佛祖からたえることなくうけつがれてきた以心傳心の妙理の清淨さが身にしみわたり、青蓮のかおりが御僧の口中からただようかと疑われるばかり、御教の微妙さが感ぜられるではないか。おりしも境内の木々からは、落花片々、あとからあとから飛び散ってくる。あたかも、お經に説かれている天女が天花を散らしたもうのも、かくやとばかりに思われ、とりわけ、それを小鳥がめいめい口にくわえて飛ぶところを見ると、「百鳥花を銜む」という古の聖の示したもうたふしぎをまのあたりに見る心地である。
<End Translation>
<Formatted Translation>
龍興寺をたずねてきたが、靈地の神々しさに心ひかれて歸ることを忘れ、とうとう夜になってしまい、宿めてもらうことになった。
古い殿堂の扉のあたりは、松の枝が清らかにさしかかり、
住持の部屋には、燈火が明るく輝いている。いかにも佛法の光のように見える。
高徳の僧たちの衣にかけられた珠數を見ても、ありがたいお經に説かれている善根功徳の寶珠が衣服の裏にぬいこまれていたという話も、そぞろに思い出される。
しばしのまどろみがさめて、夜が明けわたると、白日が静かに照りわたり、
佛祖からたえることなくうけつがれてきた以心傳心の妙理の清淨さが身にしみわたり、
青蓮のかおりが御僧の口中からただようかと疑われるばかり、御教の微妙さが感ぜられるではないか。
おりしも境内の木々からは、落花片々、あとからあとから飛び散ってくる。
あたかも、お經に説かれている天女が天花を散らしたもうのも、
かくやとばかりに思われ、とりわけ、それを小鳥がめいめい口にくわえて飛ぶところを見ると、「百鳥花を銜む」という古の聖の示したもうたふしぎをまのあたりに見る心地である。
<End Formatted Translation>